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【日语有声朗读】猫、病院にいく-1朗读:yuki筱寻

7:36
 
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这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻
猫、病院にいく-1
しかし、猫がこんなにも遊び好きな生きものだとは思わなかった。猫無知の私のイメージでは、つーんとすまして座っているか、寝ているか、それが猫の常態だった。しかしトトは遊ぶ遊ぶ。しかも、激しく遊びたくて仕方がないらしい。跳んだり、走ったり、ということが、したくてしたくてたまらなそうなのである。ボールを投げるとくわえて持ってきて、もっとやってとせがむ。投ひもげてやるとまた持ってくる。終わりがない。紐状のもので遊ぶと、ぽーんとジャンプする。驚くほど高く跳ぶ。
そのくせ、運動神経が鈍いものだから、壁に顔から突っ込んだり、高いところから落ちたりしている。危なっかしくて仕方ないが、猫自身は打っても落ちてもぶつかっても、照れることもなく恥じることもなく、何ごともなかったかのように「遊んで」をくりかえしている。タフだなあ。
ところがトトが我が家にやってきて、半年ほどたったある日。要求されるままさんざん遊んでいると、トトは口を開けてはーはーと息をしている。へえー、犬だけじゃないんだ、猫もこんなふうにするんだなあと、猫無知の私は軽く考えていた。猫歴の長い夫も、「めずらしいけど、トトはそもそもいろんなことがほかの猫と違うしなあ……」とトトのその奇妙な呼吸法をどう考えていいのか、わかりかねている様子だった。
トトのおにいちゃん、元ごーちゃんの飼い主である編集者氏に、元きごーちゃんもそんなふうに呼吸する? と訊いてみると、しない、とのこと。加えて、念のためお医者さんに連れていったほうがいいとアドバイスをもらった。
そんなわけで、はじめてトトを動物病院に連れていくことになったのである。病院は、いろいろ考えた末、もっとも近くにある動物病院に決めた。トトの外出は、うちにやってきたときに次いで二度目。
キャリーバッグに入れて、おそるおそる外に出る。駅前を通り過ぎる。うちにきたときはまったく鳴かなかったのにトトはニャアニャアと鳴いている。だいじょうぶ、だいじょうぶと言って聞かせながらそろそろ歩く。
無事たどり着き、検査を受けることになった。血液検査のための注射をするとき、女性の院長先生が「ときどきびっくりしてすごく大きな声を出す猫ちゃんがいるんです。この子が叫んでも驚かないでくださいね」と前置きして、注射を打った。なんと先生の言葉どおりトトは聞いたこともない大声で「ンニャーッ」と鳴いた。検査の結果、トトはふつうの猫よりも心臓が大きいことがわかった。トトはアメリカン・ショートヘアという猫種だが、この種には多いらしい。血液がどろどろになりやすく、最悪の場合は血栓ができ、発作を起こす。
心臓がちいさくなることはないけれど、激しい遊びはさせない、太らせないようにすることで、発作は防ぐことができる。
毎日飲ませる薬を処方してもらい、はじめてそこが東洋医学の病院だと知った。薬は漢方薬である。
じつは私は、トトを病院に連れていくまで、ペットがいつか確実にいなくなると、ちゃんと考えたことがなかった。もちろん頭ではわかっている。動物の寿命は人間よりうんと短い。でも、実感がなかった。理解していなかった。
心臓のことについて説明を受けたとき、不覚にも私はその場で泣いた。泣くつもりはまったくなく、いい年をしてみっともないとわかっているのに、勝手に水滴が目から落ちてくるのである。先生はさぞやぎょっとしただろうに、心臓が悪くても長生きする猫はたくさんいますよ、と言ってくれた。病気も、おうちも、飼い猫は自分で選んで生まれてくるんだと私は思いますよ、とも。
説明を受けて病院から帰る道々、幾人もの友人の顔が思い浮かんだ。犬や猫を飼った経験があり、今も飼っている人たちである。あの人も、あの人も、あの人もだいじな生きもののいのちを見送ってきたのだと、はじめて気づいたのである。ともに暮らしてきたちいさな生きものが病気になって、でも会社や学校にいって、それでお別れがあって、きっと泣いて泣いて泣いて、でもやっぱり学校や会社があって、休めなくて、友だちとがんばって笑って話して、帰ってきっとまた泣いて泣いて泣いたんだろう。
そうしてみんな大人になって、また、あらたに生きものを迎え入れてともに暮らしているんだろう。すごいな。いや、ほんと、すごいなあ。私は心から思った。
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猫、病院にいく-1
しかし、猫がこんなにも遊び好きな生きものだとは思わなかった。猫無知の私のイメージでは、つーんとすまして座っているか、寝ているか、それが猫の常態だった。しかしトトは遊ぶ遊ぶ。しかも、激しく遊びたくて仕方がないらしい。跳んだり、走ったり、ということが、したくてしたくてたまらなそうなのである。ボールを投げるとくわえて持ってきて、もっとやってとせがむ。投ひもげてやるとまた持ってくる。終わりがない。紐状のもので遊ぶと、ぽーんとジャンプする。驚くほど高く跳ぶ。
そのくせ、運動神経が鈍いものだから、壁に顔から突っ込んだり、高いところから落ちたりしている。危なっかしくて仕方ないが、猫自身は打っても落ちてもぶつかっても、照れることもなく恥じることもなく、何ごともなかったかのように「遊んで」をくりかえしている。タフだなあ。
ところがトトが我が家にやってきて、半年ほどたったある日。要求されるままさんざん遊んでいると、トトは口を開けてはーはーと息をしている。へえー、犬だけじゃないんだ、猫もこんなふうにするんだなあと、猫無知の私は軽く考えていた。猫歴の長い夫も、「めずらしいけど、トトはそもそもいろんなことがほかの猫と違うしなあ……」とトトのその奇妙な呼吸法をどう考えていいのか、わかりかねている様子だった。
トトのおにいちゃん、元ごーちゃんの飼い主である編集者氏に、元きごーちゃんもそんなふうに呼吸する? と訊いてみると、しない、とのこと。加えて、念のためお医者さんに連れていったほうがいいとアドバイスをもらった。
そんなわけで、はじめてトトを動物病院に連れていくことになったのである。病院は、いろいろ考えた末、もっとも近くにある動物病院に決めた。トトの外出は、うちにやってきたときに次いで二度目。
キャリーバッグに入れて、おそるおそる外に出る。駅前を通り過ぎる。うちにきたときはまったく鳴かなかったのにトトはニャアニャアと鳴いている。だいじょうぶ、だいじょうぶと言って聞かせながらそろそろ歩く。
無事たどり着き、検査を受けることになった。血液検査のための注射をするとき、女性の院長先生が「ときどきびっくりしてすごく大きな声を出す猫ちゃんがいるんです。この子が叫んでも驚かないでくださいね」と前置きして、注射を打った。なんと先生の言葉どおりトトは聞いたこともない大声で「ンニャーッ」と鳴いた。検査の結果、トトはふつうの猫よりも心臓が大きいことがわかった。トトはアメリカン・ショートヘアという猫種だが、この種には多いらしい。血液がどろどろになりやすく、最悪の場合は血栓ができ、発作を起こす。
心臓がちいさくなることはないけれど、激しい遊びはさせない、太らせないようにすることで、発作は防ぐことができる。
毎日飲ませる薬を処方してもらい、はじめてそこが東洋医学の病院だと知った。薬は漢方薬である。
じつは私は、トトを病院に連れていくまで、ペットがいつか確実にいなくなると、ちゃんと考えたことがなかった。もちろん頭ではわかっている。動物の寿命は人間よりうんと短い。でも、実感がなかった。理解していなかった。
心臓のことについて説明を受けたとき、不覚にも私はその場で泣いた。泣くつもりはまったくなく、いい年をしてみっともないとわかっているのに、勝手に水滴が目から落ちてくるのである。先生はさぞやぎょっとしただろうに、心臓が悪くても長生きする猫はたくさんいますよ、と言ってくれた。病気も、おうちも、飼い猫は自分で選んで生まれてくるんだと私は思いますよ、とも。
説明を受けて病院から帰る道々、幾人もの友人の顔が思い浮かんだ。犬や猫を飼った経験があり、今も飼っている人たちである。あの人も、あの人も、あの人もだいじな生きもののいのちを見送ってきたのだと、はじめて気づいたのである。ともに暮らしてきたちいさな生きものが病気になって、でも会社や学校にいって、それでお別れがあって、きっと泣いて泣いて泣いて、でもやっぱり学校や会社があって、休めなくて、友だちとがんばって笑って話して、帰ってきっとまた泣いて泣いて泣いたんだろう。
そうしてみんな大人になって、また、あらたに生きものを迎え入れてともに暮らしているんだろう。すごいな。いや、ほんと、すごいなあ。私は心から思った。
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